令和8年6月に成立した民法等改正法によって、後見及び保佐の制度が廃止され、従来の後見・保佐・補助の3類型が補助の制度に一元化されます。本人にとって必要な特定の行為についてのみ取消権・代理兼を付与する仕組みが基本となります。

また、保護の必要がなくなったと認められる場合には、制度利用の終了が可能となります。

令和10年秋頃の施行に向けて、制度改正後の運用等についての検討が進められているところです。

 

「補助の制度」に一元

 改正事項の中でも特筆すべきは、従来の「後見・保佐・補助」の3類型を廃止して、原則として「補助の制度」に一元化した点です(下図参照)。本人に必要な事項について代理権・取消権を付与し、必要な範囲での制度利用を可能とするもので、自己決定が必要以上に制限されることを防ぐのが目的です。つまり、一人ひとりの状況に合わせて、必要な代理権・取消権だけを個別に組み合わせる「オーダーメイド型」に変わります。また、利用開始にあたっては原則として本人への同意が必要になります。

 なお、例外的に、事理弁識能力を欠く常況にある者であると認定されるときは、法定の重要な財産行為についていずれも取消可能とする仕組みを選択することができます。<特定補助の仕組み>

≪出典≫成年後見制度の適切な運用に係るワーキンググループ第1回(令和8年7月15日)法務省民事局資

 

  • 必要がなくなったときに制度利用を終了することが可能に

 事理弁識能力(いわゆる判断能力)が回復していない場合でも、制度利用の必要がなくなったと家庭裁判所が認めるときは、制度を終了することができます。いったん成年後見制度を利用すると、事理弁識能力が回復しない限り、一生制度利用を終了することができないといった制約に対し、大きな見直しがなされます。

  • 本人の自己決定のさらなる尊重を図る

 「意思決定支援」の取組みを、新たな「補助の制度」にも取り入れ、補助人の選任時に「本人の意見」が重要な考慮要素とされます。また、成年後見人の交代が困難であり、本人がニーズにあった保護を受けることができないという課題に対しても、「本人の利益のために特に必要があるとき」と認められれば家庭裁判所の判断で補助人を解任することが可能となります。

  • 任意後見制度の柔軟な利用を可能にする

「補助の制度」の利用を開始しても、任意後見契約の存続が認められるようになります。また、受任者が亡くなった場合、次の後見人を誰にするかを、本人と受任者の間であらかじめ決めることが可能となりました。

任意後見を発効させる裁判手続きの申立ては、従来、親族または任意後見受任者に限定されていましたが、改正法では本人が公正証書により指定した人も申立てができるようになりました。

成年後見制度をすでに利用している場合は、利用中の制度を継続することも選択できる

今、後見制度を利用している場合は、利用中の制度を継続するか、新制度に移行するかを選択することが可能です。

1 利用中の制度の利用を継続したい

後見・保佐   基本的には現行法の内容で利用継続可能

解任事由(※1)・意向尊重義務(※2)は改正後の民法を適用

※1 本人の利益のため特に必要があるときに解任可能

※2 補助人がその事務を行うにあたっては、適切な方法により、本人の意向を把握するようにしなければならない

補助      改正後の補助の制度の内容で利用継続可能

2 新制度に移行したい

後見・保佐   改正後の補助の制度に係る申立て(※3)をして新制度を利用

現在利用中の後見・保佐開始の審判は取消し

※3 申立権者:本人、配偶者、四親等内の親族、成年後見人・保佐人等

3 制度利用を終了したい

後見・保佐  後見・保佐開始の審判の取消しの申立て(※4)可能

※4 申立権者:本人、配偶者、四親等内の親族、成年後見人・保佐人等

補助     補助開始の審判の取消しの申立て(※5)可能

※5 申立権者:本人、配偶者、四親等内の親族、補助人等

施行日前に締結された任意後見契約

改正後の任意後見契約法を適用(※6)

※6 ただし、旧法下で生じた任意後見契約に係る効力は維持